【更新日】2025年10月14日

光熱費の高騰や冬場の寒さに悩まされている方にとって、内窓の設置は非常に効果的な解決策です。内窓は既存の窓の内側に取り付けるだけの簡単なリフォームでありながら、断熱性能を大幅に向上させることができます。本記事では、内窓による断熱効果の仕組みや費用相場、おすすめ製品について詳しく解説します。
窓から熱が逃げる理由

窓を通じて熱が逃げる理由として、主に以下の3つが挙げられます。
ガラスの熱伝導率が高いため
一般的に使用されている単板ガラスは、熱伝導率が非常に高い材質です。熱伝導率とは、熱の伝わりやすさを示す数値で、ガラスは金属ほどではありませんが、木材やコンクリートと比較すると格段に熱を伝えやすい特性があります。
冬場の室内温度が20℃、外気温が0℃の場合、ガラス面を通じて室内の暖かい空気が外部に逃げ続けてしまいます。この熱の移動は、室内外の温度差が大きいほど激しくなり、暖房効率を大幅に低下させる原因となるのです。
窓枠の気密性が不十分なため
窓枠と壁の接合部分や、サッシの隙間から外気が流入することも大きな要因です。特に築年数が経過した住宅では、建物の経年変化により隙間が生じやすく、隙間風として冷たい空気が室内に侵入します。
また、開閉部分であるサッシ周りは構造上完全に密閉することが難しく、わずかな隙間からも熱交換が発生します。この現象は「隙間風」として体感されることが多く、暖房をつけていても足元が冷えるなどの不快感につながってしまうでしょう。
単板ガラスは断熱性能が低いため
従来の単板ガラスは厚さが3~6mm程度と薄く、断熱材としての機能はほとんどありません。複層ガラス(ペアガラス)と比較すると、熱を通しやすいのが特徴です。
さらに、結露も起こりやすく、結露水が蒸発する際に室内の熱を奪うことで体感温度を下げてしまいます。結露はカビやダニの発生源ともなり、健康面でも悪影響を及ぼします。
内窓で断熱できる仕組みとは?

内窓を設置すると、既存の窓と内窓の間に密閉された空気層が生まれます。この空気層は熱を伝えにくいクッションのような役割を果たし、室内外の熱交換を大幅に抑えます。空気は動かない状態では非常に優れた断熱材となるため、隙間なく密閉された空気層は安定した断熱効果を長期間保つことが可能です。
さらに、内窓の枠には熱を伝えにくい樹脂やアルミ樹脂複合素材が使われており、窓そのものから熱が逃げるのを抑える効果があります。二重窓になっていることで、窓の前後で室内の空気の流れが穏やかになり、暖かい空気が外に出にくくなります。加えて、窓の表面から放射される熱も空気層がブロックするため、室温をより長く保つことができるのです。
内窓を設置するメリット

ここでは、内窓設置による主要な4つのメリットについて詳しく解説します。
光熱費の節約効果
内窓設置による最も直接的なメリットは光熱費の削減です。断熱性能の向上により、冷暖房効率が大幅に改善され、年間の光熱費を大幅に削減することが可能です。住宅の規模や地域、既存窓の性能によって効果は異なりますが、多くの家庭で光熱費削減効果を実感しており、内窓の設置費用は数年で回収ができるといわれています。
結露カビ対策
内窓設置により室内側の窓表面温度が上昇し、結露の発生を大幅に抑制できます。結露の減少は、カビやダニの発生抑制にも直結し、特にアレルギー体質の方にとって健康面で大きなメリットとなります。
防音効果
内窓は優れた防音効果も発揮します。二重窓構造により、外部からの騒音を10~15dB程度 軽減でき、これは騒音レベルを半分程度に減らせることに相当します。夜間の睡眠の質が向上し、日中の生活でもストレスが減る場面が多くなるでしょう。
防犯性の向上
内窓の設置により、住宅の防犯性も向上します。侵入者にとって二重の窓を破る必要があることは、侵入時間の延長と騒音の増加を意味し、犯罪抑制効果が期待できます。また、内窓により室内の様子が外部から見えにくくなるため、プライバシー保護の観点でも大きな利点です。
内窓の断熱効果を最大化するポイント

同じ内窓でも、選択するガラスの種類や施工方法により性能に大きな差が生まれます。 ここでは、断熱効果を最大化するための4つの重要なポイントについて解説します。
Low-Eガラスを選ぶ
Low-E(低放射)ガラスは、ガラス表面に特殊な金属膜をコーティングした高性能ガラスです。この膜により、熱を持つ赤外線を反射し、通常のガラスと比較して断熱性能を大幅に向上させる効果があります。初期コストは上がりますが、長期的な光熱費削減効果を考慮すると投資対効果の高い選択といえます。
気密性の高い施工を行う
内窓の断熱効果は、施工時の気密性に大きく左右されます。どれだけ高性能な内窓を選んでも、施工に隙間があると断熱効果は大幅に低下してしまいます。既存の窓枠との接合部分に隙間が生じないよう、適切なシーリング材を使用し、実績豊富な専門業者に依頼することが大切です。
適切なサイズで隙間をなくす
内窓の効果を最大化するためには、窓枠のサイズに正確に合わせた製品の選択が欠かせません。製品の採寸は非常に重要な工程で、既存の窓枠の寸法を正確に測定する必要があります。サイズが合わないと隙間が生じ、そこから熱が逃げてしまうため注意が必要です。
断熱カーテンと併用する
内窓と断熱カーテンを併用すると、さらに高い断熱効果を得られます。カーテンを使うことで窓面にもう一層の空気層が生まれ、多層断熱構造が形成されます。たとえば、夜間にカーテンを閉めれば、窓からの放射冷却を防ぎ、室内の温度低下を抑えられます。
内窓設置にかかる費用相場

内窓の設置費用は、窓のサイズや選択する製品により大きく変動します。小窓の場合、工事費込みで5~10万円程度が相場です。掃き出し窓や大きな腰窓では8~20万円程度を見込んでおく必要があります。
複数の窓に同時施工することで工事費を抑えることができ、リフォーム補助金制度を活用すれば実質的な負担を軽減できます。住宅の条件や使用状況により効果は異なりますが、多くの場合で数年程度での投資回収が期待され、その後は光熱費削減による経済効果を得ることができます。
内窓で断熱!おすすめ製品5選
市場には多くの内窓製品が存在しますが、性能価格施工性のバランスを考慮する必要があります。ここでは、特におすすめの5製品をご紹介します。
インプラス(LIXIL)
LIXILのインプラスは、価格と性能のバランスが良い内窓です。既存窓に”プラス”するだけの簡単リフォームで、断熱防音防犯結露対策の4つの効果を同時に実現。豊富なカラーバリエーションで幅広い住宅に対応します。
電車の騒音と冬の寒さ対策として設置。ショコラーデGカラーを使用し、設置後は騒音が大幅に軽減され、断熱効果により暖房効率が向上し光熱費削減を実現しました。
ウチリモプラマードU(YKK AP)
ウチリモプラマードUは、窓枠取付面最小47mmという薄さが最大の特徴です。既存窓の約75%にふかし枠なしで設置可能で、Low-E複層ガラス仕様により熱貫流率1.5W/㎡K以下を実現しています。
リビングに木目のナチュラルカラーで設置。冬の寒さ対策が主目的でしたが、二重窓構造により外部からの騒音も大幅に軽減され、静粛性の向上という予想以上の効果を得ることができました。
プラメイクEⅡ(三協アルミ)
三協アルミのプラメイクEⅡは、コストパフォーマンスに優れた内窓として人気があります。5色のカラーバリエーションがあり、和室にも洋室にも合うデザインが特徴です。価格が比較的リーズナブルであるため、予算を抑えつつ内窓の効果を実感したい方におすすめです。
騒音対策として設置し、外部騒音を大幅に軽減しました。ホワイトとクリアライトの2色を使い分けることで空間にアクセントをプラス。特にクリアライトに使用された和紙調ガラスにより柔らかな光が室内に入り込み、優しい雰囲気を演出しています。
LiteU(YKK AP)
YKK APのLiteUは、スタイリッシュでリーズナブルな内窓として注目されています。薄型設計により取り付け後の窓デザインを自然に仕上げることができ、室内のイメージを損なうことなく断熱性能を向上させます。
木目ナチュラルカラーを使用して設置。気密性が大幅にアップし、外気の冷気侵入を効果的に軽減することができ、薄型設計により室内の美観を保ちながら断熱効果を実現しました。
インプラス浴室仕様(LIXIL)
インプラス浴室仕様は、高湿度環境での使用に特化した設計が特徴です。ヒートショック対策として非常に有効で、浴室と脱衣室の温度差を軽減し、安全で快適な入浴環境を実現します。浴室の寒さや結露に悩まされている方には特におすすめの製品です。
浴室にはホワイト、居室にはライトウッドGを使用し、結露が完全になくなり暖房効率が大幅に向上しました。浴室は清潔感溢れる仕上がりで、カビの原因となる結露を軽減。断熱防犯効果により安心で快適な住環境が完成しました。
まとめ
内窓を設置すると、断熱性能の向上により光熱費を大幅に削減できるほか、結露やカビの防止、防音効果、防犯性の向上など、さまざまなメリットが得られます。効果を最大限に引き出すには、Low-Eガラスの採用や気密性の高い施工が重要です。
既存の窓に取り付けるだけの簡単なリフォームでありながら、室内環境を大きく改善できます。断熱性能だけでなく、見た目やデザイン性も兼ね備えているため、快適さと美しさの両立を目指す方にとって、非常に有効な選択肢といえるでしょう。
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