【更新日】2024年07月23日
私たちの住宅へ不法に侵入しようとする不審者は、常に「もっとも簡単に室内へ侵入できる方法」を考えています。
令和4年度の統計では侵入窃盗の被害に遭った住宅の過半数が施錠を行っていない無戸締り状態であったと報告されています。
改めて、出かける前に自宅が施錠されているか確認をしておきたいですね。
侵入窃盗の経路として、特に玄関と窓が狙われています。
特に一戸建てへの侵入経路では窓が53.3%を占めており、もっとも狙われやすい場所です。
したがって、窓は防犯を考える上で非常に重要なポイントです。
この記事では、既存の窓に取り付けるだけで大きな防犯効果を発揮する、面格子について解説します。
面格子の種類や設置方法を説明していくので、自宅の防犯対策を見直したい場合は、ぜひ参考にしてください。
面格子とは
面格子(めんごうし)とは、窓の外側に取り付ける格子状の柵のことを指します。
後から取り付けることが可能なので、既存の窓へ簡単に施工できます。
不審者が窓を破って侵入しようとしても、面格子が妨げとなり室内に入ることができません。
主な材質はアルミやステンレスなどに加え鋳物や木製など、さまざまな種類があります。
材質ごとに強度や仕上がりの雰囲気が異なるので、防犯性や自宅の雰囲気との調和を考えた面格子選びが重要です。
たとえば、木製の面格子はナチュラルな雰囲気に仕上がりますが、工具による切断に弱いため防犯性は高くありません。
一方で、ステンレス製の面格子は高価ですが強度があり、工具を使った切断にも強いので高い防犯性を誇ります。
面格子の種類
面格子は形によって4つの種類に分けられ、それぞれに異なる特徴があります。
目的に応じて最適な種類を選びましょう。
縦・横格子
シンプルな構造と手ごろな価格で、取り付けやすいのが特徴です。
視界を遮らないデザインで、スッキリとした印象を与えてくれます。
格子を太くし、間隔を狭めるほど防犯性能は向上しますが、強度を求めすぎると牢屋のような印象となってしまうため、窓のサイズとのバランスを考えながら面格子を選びましょう。
枠付き格子
縦や横の格子に四方を取り囲む枠が付いたもの。
格子の1本1本が独立しているものに比べると、枠が付いている分だけ強度がアップします。
格子の端が固定されているので、無理に曲げようとしても簡単には曲がりません。
自宅の防犯性を高めたいなら、枠付きの格子がおすすめです。
ヒシクロス格子(枠付き)
ヒシクロス格子とは格子が斜めに交差し、ひし形の見た目をしているものです。
縦や横方向の格子とは異なり、壊そうとしても力が斜めに逃げるため簡単には壊せません。
斜めの線を取り入れたデザインはラグジュアリーな印象を与えてくれるので、洋風の住宅と相性のよい面格子です。
井桁格子(枠付き)
縦と横の格子を使い「井」の字状に組み合わせたもの。
ヒシクロス格子と同様に2本の格子が交わっているため強度が高く、簡単には不審者が室内に侵入できません。
障子を連想させる井桁格子は、和風の家屋におすすめです。
面格子の防犯効果
面格子の最大の防犯効果は、不審者に侵入を諦めさせることです。
面格子が付いた窓から侵入するには、まず面格子を外してから窓ガラスを破って鍵を開けて、室内に侵入する必要があります。
侵入までの手間が増えることで、不審者は侵入を諦める傾向があります。
そのため、面格子が付いている家はターゲットになりづらいとされています。
警視庁のデータによると、5分以内に室内に入れない場合は発見されるリスクを恐れた不審者の7割が住宅への侵入を諦めるとされています。
このように、面格子は不審者が室内に侵入するのをためらうまでの時間を稼ぐ役割もあります。
防犯以外の面格子のメリット
面格子を設置は、防犯面以外にもメリットがあります。
たとえば、強風による飛来物が室内に飛び込むのを防ぐ効果があります。
平均風速が20から25m/sを越えると、住宅の屋根瓦が飛散したりプレハブ小屋が転倒したりする危険が高まります。
それにともなって、窓ガラスを破って屋外からの飛来物が室内に飛び込んでくる可能性があります。
しかし、面格子を設置していれば格子の隙間より大きな飛来物は室内には入れません。
また、室内からの転落を防ぐ効果も面格子には期待できます。
子どもが窓辺に近づいて転落する危険性がありますが、面格子があればそのリスクを軽減できます。
面格子は外壁にしっかりと固定されているため、子どもの力では簡単に外れません。
面格子を設置するべき場所
面格子を特に設置すべき場所は、大きな窓ではなく小さな窓です。
窓からの侵入は頭と肩が入れば可能とされており、小さな窓からでも人が入るケースがあります。
換気のため開けがちなキッチンやお風呂、トイレなどの小窓には面格子の設置を検討するべきです。
また、住宅に面した道から死角となる窓にも、面格子を設置することをおすすめします。
死角となる場所は、不審者にとって犯行を目撃されずに行えるため、発覚を遅らせる効果があります。
そのため、自宅のどのような場所が死角となるか、一度検討してみてください。
防犯対策におすすめの面格子と設置事例
ここでは、防犯性を高める面格子の具体的な製品と設置事例を紹介します。
設置事例も合わせて紹介するので、参考にしながら自宅に最適な面格子を見つけてみましょう。
アルミ面格子 ヒシクロス
アルミ製の格子が、ひし形に配置されたスタイリッシュなデザインが特徴です。
格子がクロスしていることで強度が高く、外枠もあるので非常に耐久性の高い面格子です。
シンプルでおしゃれな雰囲気は、洋風住宅への取り付けが特におすすめです。
スタイリッシュな外壁の窓に取り付けた施工事例です。
外壁の色と面格子の色を合わせることで、一体感のある仕上がりとなっています。
防犯対策をしたいが住宅の外観を変えたくない場合、シンプルなデザインと外壁色を揃えることで、目立たない面格子を取り付けられます。
高強度面格子 縦格子
強度と防犯性を重視した、アルミ製の面格子です。
さらに、強度面だけではなく面格子の取り付け方法も防犯性の向上に貢献しています。
面格子を住宅に取り付ける際に使用するネジが、すっきりと隠れるデザインになっているので、不審者が簡単には取り外せないようになっています。
圧迫感が出がちな面格子ですが窓枠の色と同じ色にすることで、一体感を持たせた施工事例です。
住宅の壁面だけではなく、窓枠の色と合わせて面格子を設置しているので、すっきりと統一感のある仕上がりになっています。
たて面格子LA
風通しが良く採光性に優れた面格子です。
飽きの来ないシンプルなデザインは、自宅の外観のイメージを長期間に渡ってラグジュアリーなものにしてくれることでしょう。
また、アルミ製なので十分な強度があり、窓の防犯性も大きく向上します。
シンプルな格子の形状はモダンな住宅にマッチしており、落ち着いた雰囲気の仕上がりとなります。
面格子を窓に設置する場合は、できるだけ圧迫感が生まれないようにしたいところ。
たて面格子 LAはシンプルな形状で圧迫感が生まれないようにしつつ、しっかりと強度も確保されているので、おすすめの面格子です。
目隠し可動ルーバー
羽の部分が可動式になっており、採光と通風を確保しつつ視線をシャットアウトできるルーバーです。
他の面格子とは異なり、羽を閉じると室内への視線を完全に防ぐことができます。
そのため、ある程度人通りのある場所への設置もおすすめです。
可動ルーバーは室内から操作可能なので、西日の直射日光などが気になればさっと閉じられます。
また、近隣の生活音や自動車の音が気になる場合も、可動ルーバーは防音性が高いので、施工すれば室内にリラックスした空間が誕生することでしょう。
鋳物面格子 スパニッシュ
鋳物独特の重厚感のある面格子です。
洋風住宅を意識した風合いと洗練されたデザインが特徴で、住宅の外観のアクセントになります。
玄関周りや通りに面した窓に施工すれば、おしゃれと防犯性の両立が可能です。
白い外壁と鋳物の風合いのコントラストが印象的な施工事例。
鋳物の面格子は十分な強度を誇る一方で採光性や風通しに優れており、すっきりとした印象を与えてくれます。
意外にも幅広いデザインの家屋にマッチするため、自宅に面格子を設置する場合は重厚感のある鋳物もぜひ検討してみてください。
まとめ
面格子は窓から不審者が住宅へ侵入するのを防ぐ、重要な役割を果たします。
強引に住宅へ侵入しようとする不審者に対して、5分以上面格子が耐えられれば発見されるリスクを恐れて、不審者は侵入を諦める可能性があります。
特に、近隣の住宅や道から死角となる場所の窓は、不審者にとっては絶好の侵入ポイントです。
そのため、死角になっている窓には、優先的に面格子を取り付けてみましょう。