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外壁の「サイディング」とは?種類や特徴とメンテナンスについてご紹介
2023年7月26日更新 2023年7月26日公開
新築で家を建てるとき、また、外壁をリフォームする際、どのような質感やデザインにするか悩みますが、それも楽しみのひとつ!
お住まいの環境や周囲の住宅事情によって、また、暮らしている町の気候によっても選ぶ外壁は変わってきます。
様々な外壁材がありますが、外壁材のひとつである「サイディング」は、外壁を検討される際は必ず耳にされることでしょう。
「サイディング」はどんな工法で外壁を作っていくのか、どんな特徴があるのか、メンテナンスが必要となる目安の時期について、ご紹介します。
外壁にはどのような種類があるのか
日本国内で使用されている外壁の多くは、以下のような種類があります。
・サイディング
あらかじめ工場などで作られる板状の外壁材を住宅の壁に組み立てていく工法。代表的な4つの素材があり多くの住宅で使われている。
・木製羽目板
木の板を重ね合わせ外壁を作っていく工法。温かみがありおしゃれであるが、5年以内ごとに張り替えなければ維持できない。
・ガルバリウム鋼板
金属板を加工しながら職人が外壁材に仕上げていく工法。つなぎ目がなく美しい仕上がりだがデザインが画一的であり錆や衝撃に弱い。
・ALC
軽量なコンクリートに気泡を入れパネル。耐久性はあるものの、つなぎ目が多いので防水加工が必要。
・タイル
土や石などに火入れして加工した板状の陶磁器。高級感ある外観と耐久性が叶う。工事費用が高いことがデメリット。
・塗り壁
左官仕上げ、モルタル仕上げ、ローラー塗装など様々な種類がある。つなぎ目がないのですっきりとした見た目にはなるが、職人の技術が必要。ひび割れが生じることも多い。
・コンクリート打ち放し
コンクリートはスタイリッシュで都会的なデザイン、耐震性・耐火性の高い高機能な外壁。ただ完成までの工期が長くなり、撥水コート剤をかけるメンテナンスが10年ごと程度、必要になる。
それぞれにメリット・デメリットがありますが、選ぶ外壁によって家の雰囲気や構造は全く違ってくるので、フルオーダーメイドでの新築の場合は家の雰囲気と外壁をまず自分たちで決めておくと良いでしょう。
また、それぞれの外壁材によって二つの工法があります。昔から一般的なセメントと水で「モルタル」作りを壁に付け、そこに外壁材を付けていく「湿式工法」、板状の外壁材を建築現場に持ち込み組み立てていくだけの「「乾式工法」です。
「湿式工法」は、職人の技術や経験が必要になる場合もあるので、業者とよく相談しておきましょう。
「サイディング」の特徴と工法
様々な外壁材や工法をご紹介しましたが、その中から一番ニーズの高い「サイディング」について、どのような特徴があり、どのような工法なのかをもう少し詳しくご説明しましょう。
「サイディング」とは、工場でつくられる板状の建材であり、外壁に使う住宅のサイズに合わせてカットし、使用します。
もっと細かな特徴やメリット・デメリットについては、「サイディング」の種類によって変わるので、後ほどご紹介します。
「サイディング」を使った外壁の工法は、作られたパネル状の外壁材を外壁に沿って、釘留め工法、または、金具止め工法で付けていくので、さほど時間がかからずに完成します。
また、モルタルなどを使った工法ではないため、職人による技術差が出にくく、品質は安定しているので、リーズナブルにそして、きれいに保てます。
それでは、「サイディング」の材質ごとに一つひとつの特徴やメリット・デメリットについて確認しておきましょう。
「サイディング」の種類
国内で使われているサイディングの種類は主に4種類と言われています。これまではモルタルを使った外壁が主流でした。
メンテナンスまでの期間が長く、サイディングよりも長持ちするメリットがありながらも、工期と費用がかさむデメリットを考え、少しずつサイディングを使用する住宅が増え、今では国内の7割から8割の住宅の外壁にサイディングが使われるようになりました。
窯業(ようぎょう)系サイディング
“窯業系サイディングは日本産業規格(JIS A 5422 2019)に規定されています。セメント質原料、繊維質原料、および混和材からなる混合原料を成型、養生硬化し、防火性能に優れ、強くてしなやかな板状の外壁材です。”
出典:窯業サイディング製品概要/一般社団法人日本窯業外装材協会
窯業系サイディングは、現在外壁材に使われるサイディングの中で最も使用されています。
その理由としては、デザインや色の豊富なバリエーションでしょう。
窯業系サイディングのメリット
レンガ調や木目調、タイル調などさまざまなデザインから選ぶ楽しさがあります。
また、表面をアクリル系・シリコン系・フッ素系・無機系塗料などの塗装で仕上げるため、(無塗装の場合も有り)、色の種類が多いことも特徴です。
外観のデザイン、周囲の住宅との調和、個性などを大切にしたい方、色にこだわりのある方にはおすすめのサイディングです。
また、工場でできあがったものを取り付けるだけであり、職人の手をかけることがさほどないため、費用が比較的リーズナブルであることもメリットです。
さらには、耐火性に優れており不燃・準不燃材料として国土交通大臣認定を取得しています。万が一出火した際や、隣家が出火した際も、燃え広がることを防ぎます。
窯業系サイディングのデメリット
窯業系サイディングの素材は主にコンクリートですが、コンクリート自体に防水効果はありません。このため、窯業系サイディングの表面には塗装が施されており、塗料を塗ることで防水性を発揮しています。
塗料の種類によって劣化年数は変わりますが、塗料の劣化によって耐水性が下がってしまいます。また、窯業系サイディングのつなぎ目に使われているコーキングの劣化でも耐水性が下がります。
劣化が進むと、サイディングの中から住宅自体へと浸水が進み、雨漏りやカビなどの原因になるでしょう。
また、窯業系サイディングには、外からの熱を吸収しやすい特性があります。室内温度が高くなってしまうので断熱材を使用し、遮熱性の素材を選ぶようにしましょう。
金属系サイディング
金属系サイディングはアルミニウムやステンレス、ガルバニウム、メッキといった金属からできている外壁材です。トタンに変わってシェアを伸ばしている外壁材で、「ガルバリウム鋼板」とも呼ばれています。
金属系サイディングのメリット
金属系サイディングは、芯材に断熱材が使われているので丈夫で断熱性が高く、窯業系サイディングの5倍程度、モルタルなどの外壁に比べると50倍程度断熱性が高いのが特徴です。
外の外気温に影響を受けないので、室内は快適な温度を保てるでしょう。
断熱性の高さのほかにも、防水性・遮音性・耐震性が強く高機能ですが、素材は軽量なので、住宅への負担も少なくなります。
金属系サイディングのデメリット
金属という素材の特性上、さび付きが発生しやすいことが最大のデメリットです。ちょっとした傷がつきやすく、そこからさび付き、広がっていくこともあります。
雨の多い地域は湿度が高いので、こまめな点検が必要ですね。
木質系サイディング
木質系サイディングとは、無垢材などのそのままの木材を使用するのではなく、表面加工して、耐火性などの機能を加えた薄い板状の外壁材のことです。
まるで木の家のような見た目に仕上がるため、温かな雰囲気を醸し出すことができます。
天然の木材を使用しているので、本物の木の風合いを感じられるため、デザインや外観にこだわる方に人気のサイディングです。
木質系サイディングのメリット
木質系サイディングも金属系サイディングのように、断熱性が高く室内の温度を快適に保つことができるのが最大のメリットです。
また、金属系サイディングや窯業系サイディングでも木目調のデザインやカラーはありますが、木質系サイディングは天然の木材を加工しているので、人工的ではない本物の温かみと高いデザイン性が叶います。
木質系サイディングのデメリット
最大のデメリットは、費用が他のサイディングよりも高額であるということです。また、取り扱っている業者が少ないということもあげられます。
なるべく低予算で納めたい場合には、向かないサイディングでしょう。
また、耐火性は低いので住宅が密集している地域などの準防火地域では、使用制限がある場合もあります。
業者とよく相談し、自治体にも確認しておきましょう。
樹脂系サイディング
樹脂系サイディングとは、ラスチックの仲間である「塩化ビニル樹脂」を主原料としている外壁材です。シーリングなどを使う接合がないため、メンテナンスをしなくても良いと、いわれています。
樹脂系サイディングのメリット
潮風で腐食が起きにくく、積雪地で壁がボロボロになる凍害も起きにくい為、周囲を海に囲まれている地域でも劣化しにくいメリットがあります。
また、リフォームやメンテナンスを考えたとき、樹脂自体に顔料が練り込まれている為、色が剥げたり色ムラになったりしにくく、塗装の塗り替え回数を低減できることも大きなメリットでしょう。
樹脂系サイディングのデメリット
日本国内で樹脂系サイディングを取り扱っている業者がほぼないことが最大のデメリットです。そのため、国内のシェアは1%にも満たないと言われています。
施工をしてくれる業者を探すのが大変、ということがデメリットでしょう。
「サイディング」の費用と工期
サイディングの工事費用は、選ぶサイディングによって変わりますが、おおよそ30坪の住宅にそれぞれの素材のサイディングボードを取り付けるための価格の相場としては、以下のようになります。
・窯業サイディング 100万円~200万円
・金属系サイディング 150万円~260万円
・木質系サイディング 200万円~400万円
・樹脂系サイディング 150万円~300万円
業者によって価格は変わりますので、何軒かの業者に見積もりを取ることをお勧めします。また、ご自分でもおおよその相場をしっておくことも大切です。
工期についても、住宅の大きさや天候、リフォームの場合はもともとのサイディングの劣化状況によっても変動しますが、おおよそ10日から20日程度かかるでしょう。
「サイディング」のメンテナンスを行う劣化症状や寿命
外壁は1年中、紫外線や雨風にさらされる過酷な状況の中、住宅を守ってくれています。
もちろん年数がたてば劣化してきますし、劣化していてもそのままにしておくことで、住宅本体の劣化症状へと進行していきます。
暮らしているわたしたちにも比較的わかりやすいサイディングの劣化症状をご紹介します。
チョーキング
壁に触れたとき、手に粉のようなものがつく現象です。これはサイディングに施してある塗料が紫外線や雨風にさらされることで劣化し、塗料の顔料が粉状になっていることを表します。
修復するには、塗装をし直すしかありません。放置しておくことで、雨が住宅内へ侵入したり、カビやコケの原因になったり、壁のひび割れの原因にもなります。
ひび割れ・反り返り
サイディングの表面の塗膜が劣化してくると、そこから雨水が入り、気温差でサイディングの素材が収縮を繰り返しひび割れが発生します。サイディングがもろくなり、雨水が浸入するだけではなく、ひび割れが全体に進行してしまうので、迅速な修復が必要です。
コーキングの劣化
サイディング同士を接続しているコーキングも、少しずつ乾燥し弾力が無くなり、ひび割れや剥がれを起こします。これもサイディングの間に隙間を作るほか、雨水の侵入、住宅の構造への浸水が考えられます。コーキングについても目で見てはっきりとわかるので、劣化が見られた場合は業者に連絡し、確認してもらいましょう。
カビ・コケの発生
サイディングの塗料が劣化することにより、壁が緑色に見えるときがあります。それは壁にカビやコケが発生しているためです。
サイディングの塗装が劣化すると、外壁に水分を含みやすくなるため、どうしても日当たりのよくない部分に発生してしまいます。
この場合は、高圧洗浄や消毒を行ってから、塗装をすることをおすすめします。
まとめ
「サイディング」の種類や、その特徴、メリット・デメリットについてご紹介しました。外壁を守っている塗料には寿命があり、それを放置しておくと被害が広がること、メンテナンスが比較的楽なサイディングもあります。
費用やデザイン、メンテナンスなどの経費など、すべてを考えた上で業者に相談しましょう。
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